IT人材とは?人材不足を解消する採用・育成の方法を解説
人材・採用
近年、日本の企業ではIT人材の不足が社会問題となっています。採用担当や経営層の方々にはIT人材の確保に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
また、IT人材としてどのような人を採用・育成すればいいのかについても難しい課題です。
この記事では、IT人材の不足状況や、企業のIT人材不足を解消するための取り組みについて、採用方法や社内育成の観点から解説します。
目次
IT人材とは
経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると、IT人材は以下のように定義されています。
- 情報サービス・ソフトウェア企業の人材
- Web企業の人材
- ユーザー企業の情報システム部門の人材
- ユーザー企業の情報システム部門以外の事業部門でITを高度に活用する人材
- ユーザー企業のデジタル化を推進するための組織(たとえば「デジタルビジネス事業部」など)に所属する人材
つまり、IT企業に従事する方はもちろん、企業の情報システム部門を担当したり、テクノロジーを活用したりできる人材はみなIT人材と定義されます。
また、多くの企業においてDXが推進されている現代、DX人材という言葉も浸透しています。DX人材は、IT人材のなかでも「デジタル化を推進できる能力を有する人材」といえるでしょう。
IT人材はどれくらい不足している?
近年では、あらゆる業界においてデジタル技術が用いられており、テクノロジーをあつかえるIT人材が不足しています。しかし、具体的にどのくらい不足しているのかをイメージできる方は少ないのではないでしょうか。
以下では、IT人材の不足状況について解説します。
経済産業省が指摘するIT人材不足
経済産業省は、2019年に公表した調査結果によると、2030年時点で16万人から79万人ほどの不足になると試算しています。
とくに不足状況が深刻になるのは先進IT人材です。先進IT人材は、AI・IoT・ビッグデータなどを扱える人材を指しており、今後活躍するシーンが増えるとみられています。そのため、企業にとって先進IT人材をどのように確保するかは、将来の大きな課題となるでしょう。
職種別にみる人材不足の状況
DX白書2021では、デジタル事業に対応する人材の「量」の確保状況についてのアンケート結果が公開されました。
どのポジションも基本的には「大幅に不足している」または「やや不足している」と回答されており、米国と比較して不足率も高い状況です。
とくにデータサイエンティスト・プロダクトマネージャー・ビズネスデザイナー・テックリードなどの職種が不足しており、半数以上の企業が人材不足を実感しているようです。
IT人材の求人倍率
IT人材の求人倍率は、ほかの職種よりも圧倒的に高くなっています。求人倍率とは、求職者1人に対してどれくらいの求人件数があるかを示す経済指標です。
全体平均は1〜2倍程度であるのに対し、技術系・エンジニア(IT / 通信)の求人倍率は8〜10倍ほどの数値となっており、職種別でみても群を抜いています。
また、2022年5月の日経新聞朝刊では「IT人材難 低賃金が拍車」といったタイトルの記事が掲載されました。記事内では、2022年にITエンジニアの求人倍率が10倍に達したこと、ITエンジニアの賃金をあげるべきなどと書かれています。
IT人材に必要なスキル
IT人材は、デジタルに関するスキルはもちろん、コミュニケーション能力も必要なスキルです。採用側は、デジタルやシステムに関するスキルに加え、コミュニケーション能力がどれくらいかも見極める必要があります。
また、企業内でIT人材を育成する際も、デジタルスキルとコミュニケーション能力の双方を高める教育をしていきましょう。
デジタルやシステムに関する基礎知識
ネットワーク構築に携わる場合、ソフトウェアの取り扱いやセキュリティに関する知識は基礎として身につけておく必要があります。
また、情報システムを開発や構築、推進に携わるとなると、プログラミング言語への理解も欠かせません。
コミュニケーション能力
ITプロジェクトにおいては、別部門の社員、社外の担当者と連携して作業を行う場面も多くあります。そのため、円滑に業務を遂行するうえではコミュニケーション能力が大切です。
いかに知識や技術において優れていても、うまく連携がとれなければ企業において十分な効果を発揮できないでしょう。
また、コミュニケーション能力は、チームワークにも大きく影響します。ヒアリングできる力や伝える力を身につけることで、チームとしての生産性も向上するはずです。
IT人材におすすめの資格
IT関連の資格にはさまざまなものがあり、採用側にとっては人材のスキルを見極める指標にもなります。また、企業内でIT人材を育成する際、資格取得を目標の一つとして設定するのもよいでしょう。
以下では、IT人材が取得しておくべき資格について紹介します。
ITパスポート
ITパスポートは、IT系の国家資格のなかでも非常に有名です。
経済産業省が制定しているITSS(IT Skill Standard / ITスキル基準)において、もっとも初歩のレベル1とされていて合格率は約50%です。
IT業界を志している未経験者にもおすすめできる資格となっており、情報技術業務に携わるうえで必要な基礎知識を保有していることの証明になります。
PCで気軽に受験できる試験であり、テクノロジ系・マネジメント系・ストラテジ系の3分野から出題されます。
基本情報技術者
基本情報技術者は、ITSSにおいてレベル2に位置付けられており、ITパスポートに合格できるレベルの知識をもった方が受験すべき試験です。
試験はITパスポートと同じく、ITの基礎的な範囲から出題されますが、大きな違いとしてプログラミング言語に関する問題が含まれています。
合格率は約30%となっていますが、IT系国家資格のなかでは比較的取得しやすい資格であり、エンジニアの登竜門とも呼ばれています。
応用情報技術者
応用情報技術者は、ITSSにおいてレベル3の国家資格です。基本情報技術者に合格できるレベルの方を対象としています。
エンジニアやプログラマーがキャリアアップを目指して受験する場合が多く、ITの実務経験がない方にはハードルが高いでしょう。
応用情報技術者を保有していれば、即戦力人材として活躍が見込めます。
IT人材の採用方法
IT人材の採用方法は、企業の知名度やかけられるコストによって、自社に合ったものを選ぶ必要があります。
前述のとおり、IT人材はほかの職種に比べて人材が不足しているため、採用の難易度も高くなります。
以下では、IT人材の採用におすすめの方法を紹介します。
就活・転職サイトで正社員を募集する
リクルートやマイナビをはじめとする就活・転職サイトで求人を出し、求職者からの応募を待つ方法です。最近では、IT人材に特化したサイトも出てきており、正社員のIT人材を募集したい場合には活用してみるのも一つの手です。
就活・転職サイトでは、多くの求職者に求人を見てもらえますが、大企業の求人掲載も多く、知名度の低い企業にとっては厳しい状況です。中小企業やベンチャー企業が優秀なIT人材を確保するのは、なかなか難しい面もあるでしょう。
人材派遣会社に依頼する
人材派遣会社に求人依頼を出して、派遣会社に登録しているスタッフを採用する方法もあります。人材紹介会社へ依頼を行うメリットは、人件費や採用にかける時間を短縮したり、非公開求人を出したりできる点です。
一方、一人あたりの採用にかかる費用が高く、自社に採用ノウハウを蓄積できないデメリットもあります。とくにITエンジニアをはじめ、需要が高い職種は派遣料金が高額になりやすい点にも注意すべきです。
マッチングサービスで業務委託する
マッチングサービスでは、仕事を発注したい企業と仕事を受注したいワーカーが直接繋がって業務委託契約を交わせます。業務委託とは、成果物を納品してもらうことで報酬を支払う契約です。
マッチングサービスには「クラウドソーシング型」と「エージェント型」の2種類があります。クラウドソーシング型は、案件に対して応募してきたワーカーの中から選ぶシステムとなっており、クラウドワークスやランサーズが代表例です。
IT人材を募集する場合、一定のスキルがあるワーカーを厳選して探せるエージェント型がおすすめです。
IT人材の育成方法
前述のとおり、IT人材の採用は難航するケースが少なくありません。そのため、採用を進めると同時に、自社でIT人材を育成する方法も検討するのがおすすめです。
以下では、IT人材の育成方法について紹介します。
社内研修
社内にIT人材がいる場合には、社内の人材を講師として研修を開催できます。リソースはすべて社内で準備できるため、コストを抑えられるほか、スケジュールの調整がしやすい点がメリットです。
しかし、講師には普段の業務とは別に、教材・カリキュラムの作成や研修の実施などの負担がかかります。優秀な社員のリソースが教育にとられてしまうため、業務のスピード感が衰えたり、ほかの社員の負担が増えたりする可能性もあるでしょう。
公開型講座
公開型講座は、一つの研修会場にさまざまな企業から受講者が集まって受ける方法です。近年では、オンラインのウェビナー形式で実施される公開型講座もあります。
外部の専門家が講師をするため、社内の育成リソースがかからず、ほかの企業と情報交換ができる点がメリットです。一方、公開型講座を受講するには、高い費用が発生したり、受講人数に制限があったりするケースもあります。
eラーニング
e-ラーニングは、PCやタブレットからインターネットを使って研修動画やスライドを視聴する方法です。公開型講座に比べて、受講料は安く抑えられるうえ、端末さえ準備できればいつでもどこからでも研修を受けられます。
コア業務に支障をきたさずに、自社のスケジュールに合わせて研修を進められるため、近年注目されている研修スタイルです。マイナビが提供するe-ラーニングサイト「マイナビDX」では、IT人材育成に役立つコンテンツの一部が無料で利用できます。
e-ラーニングの雰囲気やイメージを知りたい方は、一度チェックしてみるとよいでしょう。
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多くの企業は、将来の成長のために優秀なIT人材が必要だと感じているはずです。
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